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知って安心コンプレッサの安全知識 ~周辺設備編~2021年4月16日

知って安心コンプレッサの安全知識 ~周辺設備編~

以前の記事ではコンプレッサを設置するに当たり、設置の基本となる設置環境などについてお話ししました。

知って安心コンプレッサの安全知識シリーズ      ~設置場所編~     ~日常管理編~

コンプレッサを安全にお使いいただく為には、コンプレッサ本体だけでなく、周辺の設備にも十分な配慮が必要です。今回はそうしたコンプレッサの運用に欠かすことのできない周辺設備や周辺機器の安全確保、その留意点についてご紹介します。

配管について

コンプレッサに必要な周辺設備でまず第一にあげられるのは、圧縮した空気などを通す配管です。

コンプレッサの制御方法によっては空気の逆流を防止する逆止弁を設置するなど、コンプレッサにあった配管方法を採用する必要があります。特に複数台のコンプレッサを設置する場合や、既設の配管へ新たにコンプレッサを接続する場合は十分な注意が必要です。

コンプレッサの出口に逆止弁を取り付ける際には、300mm以上離す必要があります。取り付け位置が適切でないと、負荷・無負荷運転の切り替えが頻繁に起こり、正常な容量の制御ができなくなる場合があります。極端な場合は異常高圧によりコンプレッサが故障する可能性もあります。

ドレン配管

コンプレッサで空気などの気体を圧縮すると、その副産物として発生するのが「ドレン」と呼ばれる水分です。このドレンは配管内部の腐食を推し進めるだけでなく、利用先の機器の故障や最悪の場合はコンプレッサそのものの故障の原因となる厄介な存在です。

工場の配管を検討する場合にはドレントラップやドレンを適切に排出する設備を導入することはもちろん、配管に対して勾配をつけるなどして、配管内部ドレンの供給先への到達を抑制する措置などが求められます。

また、ドレン配管を集合させると、圧力差による逆流が発生します。ドレン配管は必ず単独とし、ドレンの排出が確認できるように施工してください。やむを得ず一か所での排出を行う場合でも、排出場所が常に大気圧に保たれる条件のもと排出が行えるよう設置する必要があります。

配管の共鳴

コンプレッサと空気タンクの接続にフレキシブルチューブを使用した場合、共鳴音を発する場合があります。

配管の共鳴はコンプレッサに直接の影響を及ぼすわけではありませんが、周辺への騒音被害や、共鳴振動によって配管が損傷したり接続しているねじに緩みが生じたりといった被害の原因にもなります。コンプレッサの運転によって共鳴の発生が確認された場合には、配管の長さや太さなどの見直しが必要です。

コンプレッサの動力である電気について

ほとんどのコンプレッサは電気によってモータなどを駆動させ、気体を圧縮しています。そのため安定的な電源の供給はコンプレッサの運転には欠かすことの出来ないインフラと言えます。

小型のコンプレッサであっても使用する電力量が工場全体に与える影響が大きくなる場合もあります。コンプレッサを設置する場合の電源供給に体制については、設置前に「電気主任技術者」「電気工事士」などの専門的な知識を持った技術者との打ち合わせが重要です。施工に関しても同様です。

電源や電気に関する注意事項

電気関係の計画・施工は電気主任技術者、電気工事士または電気に関する専門知識を有する人が施工してください。

  • 漏電遮断器を設け、アース線を接続してください。
  • 圧縮機内の配線を変更しないでください。

圧縮機の型式、起動方法、電機品使用(モータ、インバータなど)によって電気設備、電源・電気機器および配線仕様が異なることがあります。事前にメーカに確認してください。

  • インバータ駆動機を設置されるときは、電力会社などの制限がある場合もあります。必ず工場の電気担当の方にご相談ください。
  • インバータ駆動機の場合は、必ずメーカに進相コンデンサの設置についてご相談ください。

電気ノイズに関する注意

インバータ制御のコンプレッサからは高周波等の電気ノイズが発生することがあります。電気配線と信号線を分離する、単独でアース配線をする等の処置をとってください。

電源事情(容量、周波数、電圧変動等)

コンプレッサ用の電源には十分な容量を確保し適切な容量のブレーカを必ず設置してください。電気容量が不足している場合、ブレーカの作動、起動不良、モータ焼損、他の機械への予期しない影響を与えることがあります。

また、電源の一時的電圧降下は必ずマイナス10%以内とし、自家発電などの電圧変動の激しい場合や、相間アンバランスが大きい場合には電源側にACリアクトルを設置してください。

水冷式の場合の冷却水について

コンプレッサは大きく分けて「水冷式」と「空冷式」の2種類があります。空冷式はその名のとおりコンプレッサの運転によって生じた熱を空気などの気体によって冷却する方式です。水冷式とは同じく発生した熱を水によって冷却する方式のコンプレッサです。

一般的には水冷式のコンプレッサの冷却に水は「工業用用水」などが利用されます。工業用水は私たちが普段飲用としている水道水と同様に含有する鉱物や重金属の量などが一定以下になるよう管理されています。しかし、井戸水などの場合には多用の鉄分や塩分などを含んでいる場合があり、そうした含有物がコンプレッサの冷却装置に悪影響を及ぼす可能性もあり、注意が必要です。

また、チラーなどによって強制的に冷やされた冷却水を利用する場合には、周辺温度との差によって結露が発生する場合もありますので、その点についても注意が必要です。

周辺機器

コンプレッサの運用にはほかにも様々な機器や計器が用いられています。圧力計やドライヤがそれらに該当します。これらの機器の故障がコンプレッサの運転に悪影響を与えることも考えられるため、定期的なメンテナンスが必要です。

圧力容器の注意事項

工場には必要に応じで圧縮した気体をためておくサージタンクと呼ばれる容器が設置される場合があります。これらの容器は一般的に「圧力容器」とよばれ、その製造については安全性確保の観点から様々な法律や法規によって制約が設けられています。圧力容器の改造や溶接の追加は破裂等の重大事故の原因となり大変危険ですので絶対に行わないでください。

コンプレッサを更新する場合の注意

コンプレッサを新しいものと更新して入れ替える場合にも注意が必要です。同じ容量の機器でもその方式などの違いによっては、工場側の設備の見直しが必要になることもあります。

電源及びブレーカ容量の変更

同じ出力のコンプレッサであっても、使用する電力量などには大きな差がある場合があります。コンプレッサを更新する場合には必ず確認してください。

トップランナーモータ搭載機

トップランナーモータ搭載機との入れ替えをする場合は、同出力のコンプレッサでも始動電流が大きくなる傾向にありますので、漏電ブレーカの容量アップが必要になることがあります。

最後に

いかがでしょうか? 以前の記事ではお伝えしきれなかったこれらの項目も、コンプレッサを安全に運用する上では欠かすことの出来ない項目ばかりです。

コンプレッサの導入や入れ替えを検討する際にはこれらの項目についても事前にしっかりと検討して、コンプレッサが安全に運用できるよう準備することが重要です。