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コンプレッサにとっても大切な数値、MTBFとMTTR2020年10月30日

コンプレッサにとっても大切な数値、MTBFとMTTR

ものづくりの現場では、一つの機器の故障が工場全体の稼働に大きな影響を及ぼすことがあります。

例えばコンプレッサ(空気圧縮機)は、停止してしまった場合の影響が大きな機器と言えます。安定した生産を維持する為にはこれらの機器がどのくらい稼働し続けられるのか、また故障した場合にどのくらいの時間で復旧できるのかを把握しておくことが大切です。

今回は稼働や故障に関わる数値であるMTBFとMTTRをご紹介します。

MTBFとMTTRの計算方法

「MTBF」と「MTTR」とはどんな数値でしょうか。実際に計算しながらご説明します。

MTBFとは

MTBFとは「Mean Time Between Failure(s)」の略で、「平均故障間隔」と呼ばれています。対象の機器がどの程度の期間で故障するかを示したもので、機器の総稼働時間を故障回数で割って導き出します。

例えば1年間に2,000時間稼働している工場に、操業時間中ずっと動き続ける機器Aがあったとします。機器Aはこの1年間で4回故障し、実際の稼働時間は1,988時間でした。この場合のMTBFを計算してみましょう。

稼働時間1,988時間 ÷ 故障回数4回 = 497時間

つまり機器Aは平均して497時間運転すると故障することになります。逆の視点で見ると、平均して497時間の間は故障せず稼働し続けていたとも言えます。

MTTRとは

MTTRは「Mean Time To Repair」の略で、こちらは「平均修理時間」と呼ばれています。対象の機器が故障した場合に復旧までに要する時間の平均です。

上の例と同じ機器Aで考えてみましょう。機器Aが1年間で4回故障し、それぞれ3時間・5時間・1時間・3時間の修理時間が必要でした。この場合のMTTRの計算は下記のようになります。

修理にかかった時間の合計12時間 ÷ 故障回数4回 = 3時間

故障してから復旧するまで平均で3時間かかっていることがわかります。

MTBFとMTTR、稼働率の関係

MTBFとMTTRの二つはいずれも機器の稼働に関する数値です。稼働の割合を示す数値として稼働率がありますが、MTBFとMTTRを使って将来の稼働率を予測することができます。具体的には稼働し続けた時間(MTBF)を、修理中の時間も含めた総時間(MTBF+MTTR)で割って導き出します。

実際に計算してみましょう。同じく機器Aの場合で考えます。

(機器Aのデータ)
工場の稼働時間(総時間)2,000時間
故障した回数 4回
修理にかかった時間 3時間・5時間・1時間・3時間 合計12時間
MTBF(平均故障間隔)  1,988時間/4回=497時間
MTTR(平均修理時間)  12時間/4回=3時間

稼働率=MTBF/(MTBF+MTTR)=497/(497+3)=0.994

機器Aの稼働率は99.4%になります。

予測することの大切さ

コンプレッサの場合稼働が停止してしまうと生産に大きな影響が出る可能性がありますが、MTBFやMTTRを使って故障間隔や復旧時間を予測し、突然の故障や長時間停止のリスクを減らすことができます。

例えばMTBFから次に修理が必要になる時期を予測し、機械が停止する前に点検の計画を立てることができます。また、MTTRが長い機器の場合、故障時に使える予備の機器や修理部品を用意しておけば復旧までの時間を短縮できます。2つの数値はこのように活用することで生産の安定をはかり、稼働率を上げることができるのです。