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省エネにもなる、コンプレッサの夏のトラブル対策
夏の暑さはコンプレッサにも負担になります。
夏の対策シリーズ第3回では、夏にコンプレッサで起こりやすいトラブルと、その対策について解説します。
コンプレッサは、設置環境の影響を大きく受ける設備です。コンプレッサがつくる圧縮空気の品質や、コンプレッサが消費するエネルギーは、周囲の気温や湿度によって変化します。夏の高温多湿がコンプレッサに与える影響を改めて確認し、本格的な夏を迎える前に対策を講じておきましょう。
高温がコンプレッサに与える影響
空気は温度が上がると体積が増え、膨張します。重さは変わらないまま体積だけが大きくなるため、空気の密度は低下します。
図1 空気の膨張
コンプレッサは周囲の空気を吸い込んで圧縮空気をつくるため、空気の密度が小さいほど、より多くのエネルギーを使って圧縮空気をつくることになります。そのため、周囲の気温が高いほどエネルギー消費量は増え、夏の高温はコストアップの要因になります。
また、近年の日本の夏は異常な暑さになることも珍しくありません。コンプレッサの設置場所の規定温度は一般に2℃~40℃ですが、コンプレッサは稼働すると周囲に熱を放出するため、換気が不十分だと設置場所の温度が上がってしまいます。夏場に外気温が30℃を超えるような場合は、換気が悪いままだと周囲温度が40℃を超えることもあります。
規定温度を超える条件下でコンプレッサを稼働させると、パッキンやピストンなどの樹脂部品やグリスの消耗が早まり、金属部品にもダメージが生じて、コンプレッサの寿命を縮めるおそれがあります。また、ピストンリングが摩耗していると、供給空気量が減ったり、オイル消費量が増えたりする原因にもなります。
多湿がコンプレッサに与える影響
日本の夏は気温が高いだけでなく、湿度も高くなります。ジメジメとした多湿の気候は、コンプレッサにさまざまな影響を及ぼします。
ドレンの増加
コンプレッサは空気を圧縮しますが、空気に含まれる水分は圧縮されません。圧縮空気は配管を通るうちに冷却され、その際に空気中に抱えきれなくなった水分が結露して水となり、ドレンとして排出されます。もともとの空気に含まれる水分量が多いほど結露しやすくなるため、湿度が高いと大量のドレンが発生します。
給油式コンプレッサを使用している場合、ドレンには鉱物油が含まれるため、そのまま排水することは水質汚濁防止法で禁止されています。産業廃棄物として処理する必要があり、その分コストもかかります。もちろん、ドレンが多いほど処理費用は増え、夏の多湿はコストアップの要因になります。
一方、オイルフリーコンプレッサは圧縮室の内部に潤滑油を使用していないため、ドレンが基準を満たしていれば下水道に排出できます。ただし、コンプレッサは周囲の空気を吸い込んで圧縮するため注意が必要です。周囲の環境に油分が含まれている場合は、オイルフリー式であってもドレンに油分が混入し、下水道に排出できなくなることがあります。その場合はドレン処理の費用が発生する可能性があります。
水分混入のリスク
多湿環境でつくられた圧縮空気には、ドレンが排出されたあともなお多くの水分が含まれています。そのまま使用すると、さらに空気が冷却された際に二次側で水滴になるリスクが高くなります。また、ドライヤの故障や経年劣化によって処理能力が低下している場合には、ドライヤで処理しきれなかった水分が二次側へ流出する可能性があります。
圧縮空気に水分が含まれていると、塗装ではハジキが生じて再塗装が必要になったり、設備の故障や配管の錆の原因になったりするなど、さまざまな悪影響があります。
夏のコンプレッサのトラブル対策
夏に向けて備えておきたい対策を紹介します。
設置場所を見直す
設置場所
コンプレッサを設置する際は、直射日光の当たらない風通しの良い場所を選ぶ必要があります。既設のコンプレッサが直射日光に当たっている場合は、設置場所の見直しや屋根、壁の設置を検討しましょう。
設置スペースの確保
コンプレッサの取扱説明書には、「どの面を壁から〇センチ離す」「コンプレッサを並置する場合は間を〇センチ以上空ける」といった設置条件が記載されています。壁や隣の機械との距離が十分でないと、排熱ができなかったり、排熱風が吸気側に回り込んで吸気温度が上がったりします。十分な距離が確保されているか、あらためて確認してください。
換気を十分におこなう
コンプレッサの換気を考える際には、部屋全体で行う全体換気と、ダクトを用いた局所換気があります。いずれの場合も、コンプレッサの設置場所の温度が40℃を超えないように換気計画を立てます。
全体換気
全体換気では、換気扇や給排気口を使って換気します。基本的には設置時に必要な換気量を確保しているはずですが、機械の増設や機種変更によって、当初は足りていた換気量が不足していることがあります。その場合は、給気口や換気扇を増設するなどして、必要な換気量を確保してください。
必要換気量の計算は、放熱量の算出から行います※1。設置されている機器の出力から放熱量を求め、さらにその放熱量から必要な換気量を算出します。
換気量に加えて、コンプレッサが吸い込む空気についても考慮する必要があります。必要換気量とコンプレッサの吐出空気量を合わせた量が、コンプレッサ室全体の吸気量になります。
図2 全体換気
局所換気
ダクトを使った局所換気は、全体換気よりもさらに効果的です。コンプレッサが空冷式の場合や、近くに他のコンプレッサやボイラーなどの発熱体がある場合、コンプレッサは周囲の温められた空気を吸い込んでしまいます。必要に応じて排気ダクトや吸気ダクトを取り付け、コンプレッサ室の外と直接換気できるようにするとよいでしょう。
ダクトを取り付ける際には、いくつか注意点があります。まず、空気の流れを妨げないよう、圧力損失の少ない形状にする必要があります。排気側の空気の流れが滞ると十分な換気ができませんし、吸気側に圧力損失が生じてコンプレッサが吸い込む空気量が減ると、コンプレッサの性能が低下し、せっかく吸気温度を下げた効果を打ち消してしまいます。
また、コンプレッサには排気口が複数ある場合がありますが、コンプレッサ内蔵の冷凍式ドライヤの排気口には、換気扇付きの排気ダクトを設置してはいけません。別置式冷凍ドライヤの場合も同様です。強制排気によって過冷却が起こり、ドライヤ内部が凍結してしまう可能性があります。
図3 ダクトによる局所換気
圧縮空気を除湿する
湿度の高い空気を吸い込むと、圧縮空気に含まれる水分量も多くなります。圧縮空気を除湿するエアドライヤや除湿用エアフィルタを使うことで、水分混入のリスクを下げられます。
コラム 温度差にも注意
コンプレッサ室にエアコンなどの空調が施されていない場合は少なくありません。空調がなくても、換気ができていればコンプレッサが高温で停止するような事態は避けられますが、結露には注意が必要です。エアドライヤなどで圧縮空気を除湿しても、コンプレッサの設置場所と供給先の温度差が大きいと結露が生じることがあります。
たとえば、ドライヤ内蔵式のコンプレッサでつくった圧縮空気の供給先が、空調の効いた涼しい部屋であった場合、コンプレッサ室内の環境で圧縮空気を乾燥させてから送り出しても、供給先の気温が低いために結露が発生することがあります。その場合は、供給先でも再度除湿するなどの対策が必要です。設置場所と供給先の温度差にも注意しましょう。
図4 温度差による結露
ドレン抜きや掃除をこまめにする
エアタンク内に溜まったドレンを放置すると、タンク内の容量が減ってコンプレッサの発停回数が増え、コンプレッサに負荷がかかります。また、ドレンが溜まっていると二次側に水が流出する可能性もあります。ドレンは毎日終業時に抜くようにしましょう。自動的に排出するオートドレン(エアートラップ)を使うのもおすすめです。
また、吸気口や排気口、吸い込みフィルタはこまめに清掃し、空気の流れを妨げないようにしましょう。清掃時は、必ずコンプレッサのメイン電源をOFFにしてから行ってください。
まとめ
高温多湿な日本の夏は、生産現場にさまざまな影響を及ぼします。高温多湿の影響を改めて確認し、トラブルが起こらないよう早めに備えておきましょう。
2023年7月21日 公開
2026年6月16日 最終更新