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FSSC22000とは?取得するとどんなメリットがあるの?2021年12月24日

HACCPとは何が違うのでしょうか?

食の安全に関する用語として、「FSSC22000」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

「FSSC22000」とは食品の安全性に関する国際規格です。今回の記事では「FSSC22000」についての概要、HACCPやISO22000などの他の規格との違い、取得のメリットなどについて解説します。

「FSSC22000」とは?

「FSSC」とは、「Food Safety System Certification(食品安全システム認証)」の頭文字を取った略称です。「FSSC22000」とは消費者に安全な食品を提供するための国際規格で、ISO22000の内容に加えて具体的な衛生管理の手法が追加されています。

また、FSSC22000は「GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアチブ)」によって認証を受けていますが、このGFSIとは、どこの消費者に対しても安全な食品を届けることを目標に設立された非営利団体です。

国際的に認知された食品安全規格なので、取得すればグローバル規模で顧客や消費者からの信頼を獲得できます。

「ISO22000」「HACCP」との違いは?

ISO22000との違い

ISO22000は、食品安全管理を実践するためのマネジメントシステムに関する国際規格です。消費者に安全な食品を提供することが目的で、製造過程での食品衛生管理だけでなく、営業や商品開発の分野も含めた原材料の調達から消費までの総合的な食品安全対策となっています。

FSSC22000は、簡単に言うと「ISO22000+前提条件プログラム(PRP)+追加要求事項」の構成になっています。つまりISO22000の内容は、すべてFSSC22000に含まれていることになります。

FSSC22000は、ISO22000をベースとして、管理をするために大前提として行わなければならないプログラム(PRP)を詳細に示しています。具体的な衛生管理の手法が追加されているので、取り組みやすい規格とも言えます。

 
 

HACCPとの違い

HACCPは、製品の安全性を確保するための衛生管理の手法です。2018年6月の食品衛生法の改正により、2020年6月から食品に関わる事業者すべてに対して、HACCPに沿った衛生管理が義務付けられることとなりました。

HACCPには認証団体が複数あり、それによって基準や審査項目が異なります。そのため、あくまで「世界基準の食品衛生に関するガイドライン」です。ガイドラインだけではなく国際的に通用する食品安全の規格の需要が高まって生まれたのがISO22000であり、そこから発展したのがFSSC22000なのです。

HACCPの内容は、ISO22000にもFSSC22000にも含まれ、これらの認証を得ようとすればHACCPは実践していかなければなりません。

FSSC22000の特徴

3パートから構成されている

先程も述べたように、FSSC22000は「ISO22000+前提条件プログラム(PRP)+追加要求事項」の3パートから構成されています。

食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000、前提となる衛生管理についてのプログラム、そしてFSSC22000独自の追加要求事項から成ります。

予期せぬ危害要因までカバー

ISO22000は、従業員には悪意がない前提となっています。従業員は全員ルール通りに業務に従事することになっていますが、実際には悪意ある第三者による混入事件、会社ぐるみの食品偽装事件が起こっています。

FSSC22000では、それらの予期せぬ危害要因を洗い出し、抑制もしくは低減・除去する方法を取り決め、実施することを求めています。

追加要求事項が多く、更新も頻繁

FSSC22000の追加要求事項は非常に多岐にわたり、項目も多くなっています。さらに、FSSC22000を承認しているGFSIは、重大な食品事故が起こるたびに、その対策のために食品安全に関する要求事項を改訂します。それに応じて、FSSC22000も追加要求事項の改訂を行います。

つまり、最新の食品衛生に関する対応策が、順次FSSC22000に反映されていくことになります。そのため、追加要求事項の更新が頻繁でそのたびに対応しなければなりませんが、時代が要求する高いレベルの食品安全を確保することができます。

FSSC22000取得のメリット

FSSC22000取得によって得られるメリットをまとめると、次のようになります。

社内メリット

  • 業務を整理することで、工程が見える化し作業効率が上がる。
  • 管理手法を確立し、高いレベルの食品安全を保つことができる。
  • 時代の要求に合わせた、予期せぬ食品事故を減らせる。
  • 従業員のモラル、衛生意識、品質に対する意識を向上させることができる。

対外的メリット

  • FSSC22000取得を条件としている顧客・取引先とのビジネスが拡大する(特に海外企業)。
  • 顧客や消費者に、自信を持って安心・安全な商品やサービスを提供できる。
  • 顧客や消費者からの信頼を獲得できる。
  • 食品安全管理に継続的に取り組むことにより、企業価値が向上する。

まずは目の前の課題を見直そう!

FSSC22000は国際的な食品の安全性についての規格で、特に海外企業と取引を考えたときに取得を求められることが増えそうです。今後、対応が必要になることは間違いありません。

しかし、FSSC22000は他の規格に比べても詳細に要求事項が定められています。そのため、厳格な運用が求められ、導入には1年以上の長期プロジェクトとなることがほとんどです。

FSSC22000取得のためには、まずはHACCP、ISO22000にしっかり対応することが前提になります。段階的に取り組んでいくものなので、自社の状況を整理し、目の前の課題を見直しながら、取得へのステップを踏んでいきましょう。