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コロナ禍で注目度アップ。光触媒コーティングを徹底解説!2021年11月26日

注目の光触媒。どんな効果があるでしょうか。

消臭・脱臭作用のある「光触媒コーティング」への注目が高まっています。抗菌作用があるという論文も発表され、コロナ禍の影響もあって注目されている液剤だと言えます。しかし、光触媒のコーティングは一般的な塗装と異なり、薄膜を均等に隙間なく形成する必要があり、専門の技術が求められる難しい施工です。

光触媒コーティングは、一般的な塗料と比べて液剤の単価が高く、施工作業にもコストがかかります。だからこそ、光触媒の効果を最大限に引き出すために、適切な施工を行うことが大切です。

改めて光触媒の特長を理解し、施工を行うためのポイントを解説します。

光触媒コーティングとは?

「光触媒」とはどんな物質?

「光触媒」とは、光を利用して化学反応を促進する仕掛けや物質の総称です。例えば、植物の光合成も光触媒のひとつです。植物は葉緑素に光を浴びることで、二酸化炭素と水を酸素と炭水化物へと変化させます。

植物と違い、光触媒コーティングでは酸化チタンという物質を主に用います。酸化チタンに光(紫外線)があたることで効果を発揮します。

光触媒コーティングの効果

光触媒液に含まれる酸化チタンが紫外線と反応することで、主に以下の効果が期待できます。

  • 防汚
  • 防曇
  • 消臭
  • セルフクリーニング効果

光触媒コーティングに含まれる酸化チタンは紫外線と反応して強い酸化力を持つ物質を発生させます。さまざまな有機物を分解できるので抗菌作用があり、汚れや臭いの除去ができます。最近はコロナウイルスも不活性化できるという論文が発表されたことで注目を集めています。

除菌の手段として一般的なアルコール消毒は、即効性がありますが持続力がありません。しかし、光触媒コーティングは持続力がとても高く、光がある限り常に光触媒作用が起こります。アルコール消毒の回数を減らすことができたり、壁や棚などの手が回りにくいところもカバーすることができたりします。

また、酸化チタンは紫外線を吸収することで、「分解力」と「親水性」を発揮します。分解力とは上に書いた通りの効果です。親水性とは水滴と塗膜の接触角が小さい状態を指しますが、光触媒の創り出す超親水膜とは、水滴の表面と塗膜の接触角がさらに小さい状態を指します。雨傘の表面を水滴が玉になって転がる状態を撥水と言いますが、その逆の効果です。接触角を極限まで小さくすることで、汚れと塗膜の間に水が入り込むようになります。雨が降って濡れると汚れを浮かせて勝手にきれいになるのがセルフクリーニング効果です。


光触媒コーティングの課題

多くのメリットがある光触媒コーティングですが、課題もあります。光触媒塗料は粘度が低く、見た目は水と変わりません。厚く塗りすぎてしまうと垂れやすく、乾くまでに時間がかかり、しかも光触媒の効果を発揮できなくなります。他の塗料とは違った部分で気を使わなければならない液剤です。

そのため、液剤メーカの講習を受けた認定店しか施工することができないようにしているメーカもあったほどです。光触媒の効果は5年後10年後に差が出てきます。長期間にわたって性能保証をするので、正しい技術を身に着けた方のみが施工できるという方式でした。

現在はこのような認定制度を実施している液剤メーカは少なくなりましたが、高い技術が必要な施工であることは間違いありません。施工に関して、どのような課題があるのか、ポイントを確認しておきましょう。

塗りムラが発生しやすい

光触媒液は酸化チタンに光が当たらなければ効果が出ません。そのため、酸化チタンの粒子が重ならないよう、薄膜で塗布することが必須です。一般的な塗装は塗料を塗り重ねますが、光触媒の場合は塗り重ねNGです。また、液剤は透明なので塗った部分がわかりにくいという特徴があります。

塗っていない部分や塗りすぎてしまった部分は効果が出ず、条件通り塗れた部分と効果がまちまちになってしまいます。施工後に時間が経ってから塗りムラが見つかっても、取り返しがつきません。

塗り残しが発生しやすい

コロナ禍の影響で、外壁だけではなく、建物の内装や生活用品、乗り物などで光触媒コーティングが注目されるようになりました。以前から建物の内装には使われることがありましたが、さらに注目されてます。

しかし、透明な光触媒液は、複雑な形状のものに使用する場合、どこまで塗布したのか非常にわかりにくくなります。塗り残しがあると、それはすなわち光触媒の効果を発揮できない箇所になり、施工したのに不十分な効果しか得られません。

光が均等に当たるようにしなくてはならない

セルフクリーニング効果は、光と雨に当たる場所で発揮されます。建物の外壁は常に外気にさらされ、汚れや雨風の影響を受けて自然劣化していきますが、外壁の光触媒コーティングではこれを逆にメリットとして汚れを落とし、耐用年数の長さを実現しています。

つまり、太陽光または雨があたらない場所では、雨水によるセルフクリーニング効果を発揮できません。ただし、屋内施工の場合でも有機物の分解効果はありますので、消臭や脱臭、防汚、防曇などの効果は見込めます。また、蛍光灯のわずかな光でも触媒効果を発揮する液剤もあります。詳しくは光触媒のメーカに問い合わせてみると良いでしょう。

初期コストが高い

光触媒液は他の塗料に比べて割高です。また、専門的な施工も必要になるので、施工費が高くなりがちです。耐用年数の長さを考慮し、良し悪しを判断する必要があります。

課題を解決する専用アイテムとは?

これらの課題のうち、施工上の「塗りムラが発生しやすい」「塗り残しが発生しやすい」は、光触媒コーティング専用のスプレーガンを使うと、解決しやすくなります。 光触媒専用のスプレーガンは、光触媒の塗布に最適な霧化ができるように設計されています。専用スプレーガンを選ぶときには、以下のポイントをチェックしてください。

均一に塗布するためのスプレーパターンの形状

塗り重なる部分を減らし、塗りムラを防ぐためには、スプレーパターンの開きと形状が重要です。少量塗布時でも広角に塗布できれば、塗り重ねが少なくて済み、作業効率も向上します。また、スプレーパターンの分布がフラットだと、均一に塗りやすくなりムラを防げます。

少ない噴霧量

光触媒液は大量に塗っても酸化チタンに太陽光が当たらず、効果を発揮しません。そのためごく少量の液剤を薄く均一に、かつ飛散が少なく塗布できる必要があります。低圧で塗布できるスプレーガンを選びましょう。吹付け空気圧力を低圧にできれば、付着効率が上がりやすく、無駄を少なくしながら薄膜塗布が可能になります。また、光触媒コーティングは外壁や内装など面積の広い塗布になりますので、持ち運びやすい小型のものが使い勝手が良いでしょう。

光触媒用スプレーガンに必要な圧縮空気とは?

スプレーガンは圧縮空気の力を使って、液体を霧(ミスト)状態にして吹付けます。そのため、スプレーガンを使う際には、圧縮空気を作るコンプレッサが必要になります。光触媒用スプレーガンに使用するコンプレッサは、以下のポイントに注意してください。

オイルフリーコンプレッサを使用すること

光触媒に限らず、塗装では油分を嫌います。エアにオイルが混入していると、水分と反応してピンホールができ、塗膜不良になります。光触媒だけでなく、コーティング作業にはオイルが混入していないクリーンなエアが必須です。

空気圧を一定に保てるようにすること

吹付け空気圧力を一定に保つことは、スプレーパターンの均一性に直結します。スプレーガンの消費空気量を確認し、余裕を持った性能のコンプレッサを選びましょう。また、コンプレッサに直接ホースをつなぐと圧縮空気が脈動します。脈動とは流体が波打つ状態のことです。多くのコンプレッサは上限の設定圧力になるまで空気タンクにエアーを溜めて止まり、下限の設定圧を下回ると運転してエアーを溜めます。つまり、コンプレッサが動き始めた時と止まっている時ではエアーの圧力に差があります。また、コンプレッサの運転中は空気を押し出す動作と止まる動作が断続的に行われます。運転中のコンプレッサから吐き出される空気は、常に脈動しているのです。空気圧が変動するとスプレーパターンが変化してしまうので、エアー減圧弁を取り付けることをお勧めします。

まとめ:適切な専用アイテムを使って、高品質の光触媒施工を実現しましょう!

セルフクリーニング効果のある光触媒コーティングへのニーズはますます高まっています。従来の外壁だけでなく、今後は屋内や生活用品への施工がますます求められるようになってくるでしょう。

光触媒コーティングは、一般的な塗料とは全く違う塗布方法なので、専門技術が必要とされます。液剤メーカの推奨する正しい塗布方法を習得し、専用スプレーガンなど適切なアイテムを使用すれば、最適なコーティングを実現できます。正しい技術と適切な道具を使って、最適な作業を実現しましょう!