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緊急事態に備える!コンプレッサの分散設置でBCP対策2022年4月1日
災害が起こる前の一手。
※メタルスーツ着用義務付けはエイプリルフールのジョークです。※
近年、事業継続計画(Business Continuity Plan=「BCP」)という言葉を耳にする機会が増えていると思います。取り組んでいる企業が増えていますが、いつごろから注目され始めたのでしょうか。
日本を始め、多くの国でこの単語が注目され始めたのは、2001年9月にアメリカで起こった同時多発テロの時と言われています。日本国内では2011年の東日本大震災を契機に、企業の事業継続計画の重要性がさらに大きく高まりました。
テロや災害、システムトラブルなどにより、ビジネスが危機的状況になった場合でも、重要な業務がストップすることがないように準備し、事業を継続できるようにBCPを策定しておくことが求められます。製造業においても、生産を続けることができるように準備しておくことは、社会的な使命と言えます。
生産工場において、このBCPの有効な手段のひとつが、エアーコンプレッサの分散設置です。今回は、BCPとして有効なコンプレッサ分散設置のメリットや、集中設置との違いについて解説します。
BCPはなぜ必要なのか?
大規模な災害や事故が起こると、その影響は企業内にとどまらず、雇用や地域経済に打撃を与えることになります。災害や事故などにより被害を受けた場合でも、重要な業務が中断しない、または中断しても短い期間で再開できるように準備をしておくBCP(事業継続計画)を策定しておくことは、企業にとって社会や経済の安定に貢献する重要な課題です。
2011年に発生した東日本大震災では、多くの企業がダメージを受け、復興に時間を要しました。2020年以降もCOVID-19新型コロナウイルスの感染拡大により、企業経営に大きなダメージを与えていることは周知の事実です。さらに今後30年以内に首都圏直下型地震や南海トラフ地震が発生する確率は、70%以上とも言われています。
つまり、企業活動は常に高いリスクと隣り合わせの状況と言えます。そのため、BCPを進めて緊急時の対応力を備えることが必要です。BCPを推進することで、取引先や社会からの信頼を得ることにもつながります。
BCP対策として分散設置が有効な理由は?
エアーコンプレッサの分散設置は、生産現場でのBCPとして有効な取り組みのひとつです。 機械の管理しやすさ、イニシャルコストの安さから、コンプレッサはコンプレッサ室にまとめて設置される傾向があります。また、コンプレッサは熱の発生や騒音・振動の観点から、生産設備の近く設置することが難しい場合があります。そのため、なるべく一か所にまとめたい気持ちも理解できます。
しかしながら、生産現場からコンプレッサ室を遠ざけるために配管を長くすることは、BCP的にはデメリットになります。長い配管が破損すると、復旧までに時間がかかり、それだけ事業を中断する期間が長くなってしまいます。その事態を避けるために、既存の配管を補強する対策が取られることもありますが、工事費用がかかるうえに、一部でも破損したら全体に影響が及ぶ根本的な問題を解決しているわけではありません。地震が多く、災害が頻発する日本では潜在的にリスクを含んだ配管と言えるでしょう。
BCPの視点では、配管が短くなる分散設置のほうが優れています。その理由は、大きく分けて以下の2点です。
エア供給ゼロのリスクを回避できる
機械一台、あるいは近くの生産設備ごとに小型のコンプレッサを設置すれば、コンプレッサや配管が破損しても、エアの供給が止まる影響を最小限に抑えることができます。工場全体のエア供給がゼロにはならないので、生産機会の損失を最小限に防ぐことができます。
配管レイアウトを変更しやすい
災害が起こったときはもちろん、経済環境の大きな変化が起こり、事業継続のために製品を変更することは、珍しいことではありません。製品が変われば、製造工程も変わります。自動車は2年でマイナーチェンジ、4年でフルモデルチェンジすることはご存じだと思います。
部品工場ではモデルチェンジのたびに生産の最適化、効率化のために機械の配置を変え、配管も変更するのです。この時に配管が長いと工事だけで莫大なコストがかかるので、配管を継ぎ足して対応することが多いと言われます。しかし、継ぎ足し配管は圧力損失や継手・ネジ部からのエア漏れなどの無駄が多く、効率的とは言えません。また、いつかは工場全体の配管レイアウトを見直す必要があります。
コンプレッサを分散設置すると、個々の配管が短いのでレイアウト変更が容易で、最小限のコストで改造することが可能です。また、圧力損失やエア漏れなど無駄の少ない配管は、工場ユーティリティのコストを下げることができます。効率的な設備は効率的な生産活動につながり、結果的に低コストで製品を生産できます。つまり、事業を長く継続できることになります。
集中設置と分散設置の違い
BCPの観点から集中設置と分散設置を比較すると、分散設置には以下のようなメリットがあります。
まとめ:BCP対策で、社会的な信頼を高めよう
いつ発生するかわからない災害などの緊急事態に備えて準備をしておくことは、事業継続だけではなく、社会的な信頼を高めるためにも必須となりました。
コンプレッサは産業機械なので、メンテナンスを十分に実施していても、急に故障することがあり得ます。災害への備えだけでなく、急な故障のリスクにも気を配る必要があります。工場など生産現場のBCPのひとつとして、コンプレッサの分散設置は大きな力を発揮します。
予備機や設備ごとの専用コンプレッサを導入することで、リスクを軽減することを検討してみましょう。