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省エネ効果抜群!コンプレッサのエア漏れをチェックしよう!2022年1月14日

工場エアを作るのにもエネルギーが使われています。

工場内電力の20%以上を占めることがあるほど、コンプレッサは大きな電力を使用します。その一方でコンプレッサのエア漏れは使用量の10~20%にも達すると言われています。

エアは有害ではないのでついつい見逃してしまいがちですが、コンプレッサのエアは“お金をかけて作っている”空気です。そのため、エア漏れはエネルギーやコストを浪費していることになります。

エア漏れをチェックし迅速に対応すれば、その省エネ効果は抜群です。コスト削減に大きな威力を発揮するエア漏れのチェック方法や対策についてご紹介します。

コンプレッサの消費電力はこんなに大きい!

 

エアコンプレッサの消費電力は、一般工場設備で消費される電力の20〜25%を占めます。さらに、国内で使用されているエアコンプレッサの総消費電力は国内で消費される総電力量の約5%にもなると言われています。それほどエアコンプレッサの消費電力は大きいため、省エネ対策を講じれば工場のランニングコスト削減に直結します。

コンプレッサを更新し、より効率的で省エネ機能に優れた機種や必要な圧力や空気量に適した機種を使ことで、大きな省エネ効果を出すこともあるでしょう。それでもまずは既存のコンプレッサのエア漏れを確認してみましょう。

エア漏れは使用量の10〜20%にも達すると言われています。エア漏れがあるということはエアを無駄に消費することです。つまり、コンプレッサの運転時間が増え結果的に電気代に跳ね返ってきます。エア漏れを改善し効率よく圧縮空気を使うことが、手軽な省エネや省コスト対策になります。

エア漏れの弊害とは?

 

例えばガスが漏れていたら誰もがすぐに対応しますが、圧縮空気の場合は無害のため、ついつい放置しがちです。しかし、作業で使用するエアは電気を使ってコンプレッサを動かして作った“有料の空気”です。

エア漏れによる電力とコストの損失を計算してみると、目安では以下の表のようになります。



1mmの穴からエアが漏れていると、年間10,800円を無駄に消費していることになります。しかも穴が空いている状態の配管ではエア漏れ部分が1ヶ所だけとは考えにくく、10ヶ所の穴があれば10万円以上も無駄なコストを垂れ流していることになります。コストだけではなく、環境問題への意識を高めることが求められる昨今、これだけの無駄なエネルギーを消費している状態は速やかに改善しなくてはなりません。

エア漏れのチェック方法

現状のエア漏れ状況の確認

まずは、全体でどの程度のエア漏れが発生しているのかを確認してみましょう。工場が稼働していない休日に、コンプレッサだけを回して負荷を確認します。

配管の末端を閉鎖してからコンプレッサの運転を開始し(図のA地点)、規定圧力に達したら停止します(図のB地点)。停止時から漏れにより圧力が減少します(図のB〜Cの減少)。このとき、使用圧力範囲の上限P1と下限P2になった時点の時間差t1およびt2を計測します。



t1とt2を計測できたら、コンプレッサの漏れ量の比率Lp(%)は次の式で求められます。

状況確認後漏れ箇所の特定や修理を行います。修理の前後でエアをためた後にコンプレッサを止めて、コンプレッサが再起動するまでの時間を計って比較すると、改善状況を確認できます。

漏れ箇所の特定方法

配管系統を巡回して、エア漏れ音の有無を確認します。そのため、工場内が静かになる休日に行うことをおすすめします。

音を検知したら、可能な場所は手をかざしてエア漏れの場所を特定します。また、石鹸水を疑わしい場所に刷毛などで塗ると、ブクブクと泡が立つので漏れ箇所が特定できます。またコストは掛かりますが、専用の検知器もあります。検知器を使うと検出が難しい高所や騒音のある場所でも簡単に特定できます。

エア漏れが発生しやすい箇所

  • エア配管、ホース接続部
  • ドレンセパレータ、エアフィルタ、レギュレータ、バルブなど
  • ホースリール本体、ホース、カプラ、タケノコジョイント
  • シリンダなどのエア駆動機器
  • ソレノイドバルブなどのエア制御機器
 

これらの箇所は定期的に点検を行い、速やかにエア漏れを発見することが大切です。発生しやすい箇所を中心としたチェックリストを作成し、定期的に工場内を巡回して、接続部やホース・周辺機器などに注意して点検を行うと良いでしょう。



エア漏れの対処方法

 

接続部から起きているエア漏れは、ネジなどを締め直すことで改善する場合があります。ジョイント部は、シールテープで補修してから締め直すと止められることもあります。

ホースリール本体や周辺機器などからエアが漏れている場合は、部品交換や修理が必要になります。販売店に連絡して速やかに交換や修理を済ませてください。エア漏れによるコスト増大に比べると、安価な費用で済むことが多くなります。

配管圧力を下げることでエア漏れを減らすことも可能です。例えば1.2mmのノズルからはき出されるエアの量で比較してみます。0.7MPaの時は63L/minですが、0.4MPaの時は45L/minですので、エアの吐出量は約27%減少します。漏れ箇所を合計すると、とてつもないエア消費を減少させることができるかもしれません。

また直接的なエア漏れだけではなく、配管の太さや長さによっても圧力降下が起こり、無駄なエネルギーを浪費することになります。配管はむやみに伸ばすのではなく、効率よく配置してエアを有効活用できるようにしましょう。

まとめ

 

工場内の20%の電力量を占めるとも言われるエアコンプレッサは、適切に使うことで大きな省エネ効果を生み出すことができます。そのためまず手軽にできることは、エア漏れをいち早く発見し改善することです。

部品のゆるみや老朽化によるエア漏れはもちろん、配管や使い方が原因でエアを無駄遣いしていることもあります。省エネと言うと配管圧力の低圧化やループ配管、省エネ性の高いコンプレッサへの買い替えを思い浮かべる方が多いと思います。これらの方法と合わせて、エア漏れについても見直してみてはいかがでしょうか。