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見逃していませんか?中小企業が受けられる税制優遇制度2021年12月10日

中小企業から日本を元気に。

日本に400万社近くある企業のうち、99.7%が中小企業であると言われており、雇用に占める割合も7割が中小企業に勤める人々です。まさに日本経済を支える存在であり、中小企業の成長が日本経済の成長にも直結します。

中小企業を支援するため、法人税率の軽減など、さまざまな税制上の優遇措置が定められています。優遇措置を上手に活用できるよう、具体的にどのような制度があるのか確認してみましょう。

そもそも中小企業の定義とは

「有名だから」「上場しているから」は関係ない

中小企業基本法では業種ごとに定義されており、下記のような条件を満たす企業が中小企業と呼ばれます。



「有名企業=大企業」「上場企業=大企業」というわけではなく、あくまでも基準は「資本金」と「従業員数」です。

また、似たような言葉として、「大手企業」や「中堅企業」といった言葉もあります。前者は主に「シェア率」を基準に考えられており、後者は「資本金が1億円以上の中小企業及び10億未満の大企業」のことを指しています。

大企業と中小企業を区別する理由

なぜ法律でこのように大企業と中小企業を明確に分けるのでしょうか。答えは税率にあります。

国税庁が定める法人税の税率は「資本金1億円以下の法人など」(=中小企業)は年800万円以下の所得に対して15%の税率をかけています。対して、年800万円以上の所得がある中小企業と大企業の税率は23.2%であり、法人税に差をつけることで中小企業を優遇していると言えます。

ちなみに、ここでいう「所得」とは「益金-損金」であらわしており、課税対象となる金額を指しています。「収益-費用」で求める「利益」の考え方と似ていますが、利益は株主総会で承認を得るための会計上の数字のことであり、所得は税法上の数字です。

まずは青色申告から

青色申告とは

日本は納税者が自らが税法に従って所得金額と税額を計算して納税する、申告納税制度をとっています。

1年間に生じた所得を計算するために、収入金額や必要経費に関する取引の状況を日々記帳して税務署に確定申告を行いますが、このように一定以上の水準で記帳を行い正しく申告をした場合に、税制上有利な取扱いが受けられる制度を青色申告制度といいます。制度を利用するには毎年3月15日までに税務署へ申請する必要があり、申請をしない場合は自動的に白色申告となります。

国税庁によると、法人税に関する青色申告普及率は98%にも及ぶことから、法人にとって青色申告をすることは一般的といえます。

青色申告のメリットとは

青色申告をする一番のメリットは、65万円の特別控除を受けられることです。「売上-経費=所得(課税対象)」となりますが、さらに控除が加わると「売上-経費-控除=所得(課税対象)」となり、課税対象となる金額が小さくなります。青色申告には「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があり、前者の場合は控除額が10万円となってしまうので注意が必要です。

また、青色申告をしている会社は税務上の赤字(=欠損金)を繰り越すこともできます。法人の場合は欠損金を最長9年間の繰り越しが認められており、その間に発生した黒字から赤字だった年の金額を差し引くことができます。この差し引きは、大企業の場合は「課税所得の50%相当額が限度」とされていますが、中小企業の場合は全額相殺でき、課税所得をより小さくすることが可能です。

中小企業が受けられる優遇措置

設備投資の際の手厚いサポート

中小企業の場合、青色申告をすることで下記のような税制優遇措置を受けることができます。

中小企業投資促進税制

令和5年3月31日までの期間限定ではありますが、機械装置等の設備投資をした際に「基準取得価額の30%相当額」の特別償却ができます。また、資本金3,000万円以下の法人は「取得価額の7%相当額」を税額控除とすることもできます。

適用対象資産や指定事業には細かい指定がありますので、国税庁や中小企業庁のHPで確認することをおすすめします。

中小企業経営強化税制

こちらも令和5年3月31日までの期間限定ではありますが、経営力向上のために設備を取得または制作若しくは建設した際に特別償却や税額控除が認められる制度です。「取得価額の全額」を特別控除でき、あるいは「取得価額の7%相当額」の税制控除ができます。

資本金が3,000万円以下の法人は「取得価額の10%相当額」の税制控除も選択できます。「中小企業投資促進税制」と同じく適用される条件が指定されているので、こちらも国税庁や中小企業庁のHPをご確認ください。

少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

「平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合」と限定されていますが、取得価額30万円未満の固定資産の全額を経費(損金)に算入できる制度です。経費に算入できる限度額は年間300万円で、従業員が1000人を超える法人には適用されませんのでご注意ください。

まとめ

いかがでしょうか。景気の低迷やコロナ禍の中でも前向きに活動する中小企業を応援するために、さまざまな優遇制度や補助金・助成金が設けられています。また、制度の多くは少しずつ内容を変えながら延長を繰り返してきており、現在の期限以降も延長される可能性があります。

多くの企業が青色申告はクリアしている反面、設備投資の際の優遇制度は見過ごされがちです。使える制度を上手に活用するために、まずは官公庁のHPなどで情報を集め、細かい点は専門家に相談して確認することをおすすめします。