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水質汚濁防止法で見落としがちなポイントは?2021年10月15日

ドレンの行方を確認しておきましょう。

環境対応への重要性が益々高まる昨今。地球環境、生活環境を保全する目的で、工場や事業所など特定施設からの排水を規制する「水質汚濁防止法」が定められています。

生産活動を行うと、さまざまな排水が発生します。しっかり処理をしているつもりでも、意外な排水が実は水質汚濁防止法に該当し、気づかないうちに法律違反を犯し、環境破壊を引き起こしている可能性があります。

水質汚濁防止法を遵守する上で、見落としがちなポイントと、その対策について解説します。

水質汚濁防止法とは

水質汚濁防止法は、工場や事業場などの特定施設から排出される水について、 基準値以下の汚染度で排水することを義務づけている法律です。

基準が規定されている項目は、大きく分けて2種類あり、人の健康に被害を及ぼす可能性がある物質(有害物質)を含む排水についての項目と、水の汚染状態を示す項目(生活環境項目)があります。有害物質については、有害物質を排出するすべての特定事業場に基準が適用されます。生活環境項目については、1日の平均的な排水量が50立方メートル以上の施設に基準が適用されます。

もし排水基準に違反した場合には、罰則が課され、損害賠償を求められることもあります。有害物質の基準に反した場合は、無過失であっても無条件で損害賠償が求められます。

うっかり見落としがちな2つのポイント

1.オイルコンプレッサのドレン水

オイル(給油式)コンプレッサやエアドライヤから排出されるドレン(水)は潤滑オイルが含まれているので、そのまま公共用水域や下水道に放流することはできません。

公共用水域に排出される水、または地下に浸透する水の油分(ノルマルヘキサン抽出物質)許容限度は5mg/L(ppm)で、より厳しい基準値を設けている都道府県もあります。例えば、北海道や大阪府は1mg/L(ppm)、千葉県や神奈川県は3mg/L(ppm)の基準値です。

環境ISO14001を取得するためにも、この規制遵守は必要になります。

2.湿式ブースの廃水

塗装工程で湿式ブースを使っている場合は、水質汚濁防止法と下水道法に定められている「廃ガス洗浄施設」に該当し、規制の対象になります。

湿式ブースの循環水はスラッジ等で非常に汚れているので、そのまま放流することはできません。基本的には産業廃水として処理することになります。

ドレン水の対策

もっとも簡単な対策法は、排出されるドレンを産廃業者に依頼して処理してもらうことです。しかし、すべてのドレンを産廃業者に依頼すると、高いランニングコストがかかってしまいます。

その場合、コンプレッサ専用の油水分離装置を設置することで、ドレンに含まれる油分を分離し、規定基準以下の排水を作ることができます。もちろん、すべてのドレンを基準以下にすることはできませんが、基準値以上のドレンだけを産廃業者に依頼すれば良いので、すべてを依頼するのに比べれば効率的、かつ低コストに処理することができます。

根本的な対策としては、オイルフリーコンプレッサに切り替えることです。オイルフリーコンプレッサのドレンには油分は含まれないので、特別な廃水処理をすることなく排水処理して問題ありません。ただし、それにはドレンに含まれる油分が法律・法令で制定された値以下である事を証明するために最寄りの検査機関等で水質分析を徹底的に実施し、自主管理する必要があります。

湿式ブースの廃水対策

湿式ブースの管理にはまず水管理(PH管理、水位管理)をしっかりと行い、適切に運用をすることが重要です。適切な水管理は、塗装効率のアップにもつながります。塗装ブースの水管理は水位管理システムを導入すると、一定に維持することができます。

同様に、スラッジ除去、給気・排気フィルターの目詰まり管理など、日々のメンテナンスも重要です。その上で生じた廃水やスラッジは産廃処理業者に依頼することになります。

なお、スラッジ処理に関しては遠心分離方式のスラッジ回収装置を使って水分を極限まで除去することにより、廃棄量を減容化(約従来の約1/3)し、コストと管理工数を削減することができます。

まとめ:改めてドレン水、湿式ブースの廃水の確認を!

オイルコンプレッサのドレン、湿式ブースの廃水は、水質汚濁防止法の規制の中でも見落としがちなポイントです。違反した場合には罰則が課されるだけでなく、企業の社会的価値を大きく損なうことになります。

あらためてこれらの廃水の処理状況を確認し、見落としが無いようにしておきましょう。