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騒音規制が変わるかも?コンプレッサの騒音・振動対策を見直そう!2021年10月1日

騒音・振動規制の見直しが進んでいます。

工場などに設置されたコンプレッサ(出力が7.5kW以上のもの)は、騒音規制法及び振動規制法によって、さまざまな規制が定められています。

しかし近年、騒音や振動に対して周辺住民からの苦情が寄せられるなど、さらなる低騒音化・低振動化を要請される動きが強まっています。また同時に、コンプレッサの性能が向上し、従来の出力7.5kW以上の規制がそぐわない状況にもなってきました。そこで環境省でも、騒音規制法と振動規制法を見直すための検討会をスタートしています1)

今後、コンプライアンスや労働環境改善の視点からも、さらに低騒音・低振動が求められることは間違いありません。改めてコンプレッサの騒音・振動を取り巻く現状を確認し、今後の対策を今から進めておきましょう。

コンプレッサの騒音・振動に対する規制とは

1.騒音規制法、振動規制法の概要

工場や工事現場などの騒音や振動は、周辺に暮らす住人にとっては生活環境を脅かすもの。そのため国民の健康の保護、生活環境の保全を目的に、工場での活動や建設工事などに伴って発生する騒音・振動は、「騒音規制法」「振動規制法」により規制されています。簡単に言うと、工場や工事現場の騒音や振動を規制する法令です。

これらの法令は、都道府県知事が騒音や振動を規制する地域を指定します。指定地域内において特定の機器を設置したり、変更したりする場合には、所定の届け出をしなくてはなりません。特定の機器には、コンプレッサ(空気圧縮機)も含まれています。そのため、指定地域内でコンプレッサを設置して使用する際には、規制基準に沿った騒音・振動のコンプレッサを準備し、申請する必要があります。

コンプレッサ設置または変更の申請は、自治体ごとに細かな基準や内容は異なりますが、30日前までには以下の内容を記載し、提出しなければなりません。

  • コンプレッサの能力
  • メーカーのデータ
  • 騒音、振動防止策
  • 配置図

2.規制基準は、自治体や土地区分によって異なる!

指定地域によって許される騒音・振動の基準や時間は、自治体ごとに異なります。例えば大阪市では住居用地域の第二種区域、商業地域や準工業地域の第三種区域、工業地域の第四種区域、それぞれに異なる基準値で規制されています2)

騒音規制基準(大阪市)


振動規制基準(大阪市)


騒音・振動を取り巻く現状

生活環境に対する意識は高まりつつあり、騒音や振動を発生させる工場や事業場には厳しい目が向けられています。地方公共団体に寄せられる工場や事業場に対する苦情のうち、3〜4割が騒音について、1〜2割が振動についての苦情です。また一方で、技術革新によりコンプレッサは低騒音化・低振動化が著しく進んでいる機器でもあります。これらの状況を踏まえ、環境省ではコンプレッサの規制対象範囲の見直しの必要性などについて検討を始めました1)

例えば、現在は原動機の定格出力が7.5kW以上のコンプレッサについて規制の対象となっていますが、低騒音化・低振動化が進んだ結果、定格出力が7.5kW以上のものでも発生する騒音は小さくなっています。そのため、規制対象とする必要がない製品もあるのではないか、と捉えられています3)

つまり、騒音・振動の基準はより厳しくなる方向なのは間違いありませんが、メーカー側の低騒音化・低振動化への取組が認められ、一定の性能を持つコンプレッサについては規制対象外となる可能性も出てきました。今後、コンプレッサの設置や変更を行う際には、これらの動向を踏まえた選定をしておくと、法令の見直しにも対応できると言えます。

タイプ別の特徴・騒音値比較

使われる頻度の高い小形タイプで定格出力が7.5kW以上のコンプレッサでは、主に以下の3タイプがあります。


レシプロのタンクマウントタイプでは、住居地域はもちろん、工業地域でも夜間や朝は基準値を上回る自治体も多いので、工場内に設置するなどの対策が必要となります。パッケージタイプは、工業地域では基準内の騒音ですが、準商業地域や住居地域では基準を上回る場合もあります。 コンプライアンス的に問題なくコンプレッサを使うためには、低振動・低騒音のスクロールタイプがおすすめです。

まとめ:基準の見直しが迫る騒音対策、早めの準備がおすすめ!

環境省では、騒音や振動の規制を見直す検討会がスタートし、規制基準が変更されることは必須の情勢です。国民の静音への意向も踏まえ、基準値自体は厳しくなることが予想されます。また一方で、一定の低騒音化・低振動化を実現した性能のコンプレッサに関しては、規制の対象外とする動きも出ています。

規制が変更されてからあわてて対応するのではなく、これからコンプレッサ選定する場合は、変更を見据えた機種を選択することをおすすめします。コンプレッサにはさまざまなタイプがあり、使用用途や環境に応じて様々な角度から機種選定を検討されてみてはいかがでしょうか?