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生産技術者に必要なスキルとは?2021年6月25日

生産技術者に必要なスキルとは?

生産技術者の業務は広範囲にわたり、その内容も製造業を支える重要なものばかりです。例として製造業の根幹となる生産ラインの設計・改善や製造現場の問題把握、関係部署への橋渡し役など。管理を担うだけでなく、より高品質な製品を効率的に製造するための新技術の調査や、生産ラインへの導入検討など、プロジェクトの推進を担うこともあります。

では、生産技術者にはどのようなスキルが求められているのでしょうか?本記事では生産技術者が持つべきスキルについて、大きく3つに分けて考えます。

要素技術開発スキル

生産技術者に求められるスキルの1つに「要素技術開発スキル」があります。一般的な製造メーカーの生産技術者の業務としてまず考えられるのが、製造ラインで発生するトラブルシューティングです。製造ラインでは日々何かしらのトラブルが発生しており、生産技術者は問題が起きている現場に足を運び、起きている事象を自らの目で確認し、何が要因なのかを原理原則で考え、不具合対策を実施しなければなりません。

そこで不可欠な要素が溶接や切削、組立技術といった要素技術スキルになります。担当製品が完成するまでに必要な要素技術を最低限理解していないと、日々のトラブルシューティングへの対応ができず、現場で働いている従業員との信頼関係を築くことができません。

一言で要素技術といっても、製品によっては多くの技術が使われています。広く浅く知識を習得していると本質的な原因追及が難しくなるので、まずは1つの要素技術に特化して知識を習得することが重要です。こうすることでトラブルへの対応力も上がり、現場との信頼関係を築くことができるでしょう。また、1つの要素技術を深く学ぶ感覚を身につけることで、2つ目、3つ目の要素技術を同様に深く学ぶことができるはずです。幅広く業務が立て込む中、広く浅く断片的で中途半端なスキルにならないように意識することが必要です。

プロジェクトマネジメントスキル

次に必要になるスキルが「プロジェクトマネジメントスキル」です。例えば工場に新しい製造ラインを準備する場合、営業・設計・品質保証・生産管理・生産現場・設備製作メーカーといった多くの関係部署と協力して仕事を進めていく必要があります。多くの場合、生産技術者はプロジェクトを動かすリーダーになるため、プロジェクトを動かすスキルが備わっている必要があります。関係部署にタイムリーに情報を出してもらうような台本(仕事を進めるためのストーリーと着地点)を描けなければなりません。また、プロジェクトが大きくなればなるほど台本の精度が重要になってきます。

具体的な仕事の進め方としては、まず関係部署と協力して量産までの大日程計画を立案します。また計画が遅れなく確実に実行されているのかをフォローする場を定期的に設け、自分の部署だけでなく関係部署の進捗を確認します。必要であれば、遅れのある部門へのテコ入れも検討します。当初のゴールと現在地の距離感やズレを確認する必要もあります。このように関係部署と一体感を持ってプロジェクトを運営できるように心がけることが重要になります。今回は例として新設の製造ラインで説明しましたが、工程改善においても同じプロセスでマネジメントするスキルが求められます。

生産システム開発スキル

生産技術者に求められるスキルとして、最後に「生産システム開発スキル」をあげたいと思います。どれだけ難しい技術を確立したところで、維持管理を行う作業者に負荷をかけたり、工数が増加したりするなど逆効果になってしまうケースもあります。結果的にコストが膨大になってしまっては競争力のある効率的な製造ラインをつくっていることにはなりません。生産技術の仕事は『工程設計とその最適化』です。工場へ材料が納入されてから、製品を作り上げて出荷するまでの工程で、トータルにコストを安くする方法、あるいは品質を高めつつ工数を効率化する方法を実現しなければなりません。そのためにはどのような生産システムを構築しないといけないのか?これを考えることが重要です。

まとめ

これら3つのスキルがバランスよく備わっていると、特に自分が意識をしていなくても常に期待されたアウトプットを出し続けることができ、周りからも信頼され、優れた生産技術者として認められるようになるでしょう。

3つのうちどのスキルから学ぶべきかというと、まずは要素技術スキルの習得を目指すのが良いでしょう。プロジェクトを成立するための台本を描こうにも、現場での細かい実務経験が無いことには「この仕事をするためにはどれぐらいの期間が必要なのか?どういった人材が必要となるのか?」などの計画を立てることができないからです。最適な生産システムを検討するためにも、具体的な作業内容や難しさを理解していないと改善案を検討することができません。

1つの考え方にはなりますが、「どのようにスキルを身につけていけばよいか」という疑問にぶつかった際には、まず今回説明した3つのスキルについて考えてみてはいかがでしょうか。