食品衛生法とは?その目的と対象とは?

もっとも身近な法律「食品衛生法」について解説いたします。

食品衛生法とは?その目的と対象とは?

数多くある日本の法律の内、もっとも身近な法律といっても過言ではないのが「食品衛生法」です。食品衛生法は、私たちが普段口にするほぼすべての食品について、その安全性を確保する目的で定められています。

食品衛生法の歴史は古く、1947年に食の安全性を確保する目的で定められたのを始まりとし、その後も時代背景や食文化の発展に伴って幾度となく改定や追記がなされてきました。現在では食品だけでなく、食に関わる多くの事柄について番人としての役割を担っています。

本記事では「食品衛生法」の目的や適用対象について解説いたします。

食品衛生法が定める三大要素

食品衛生法の定める内容は大きく「含有量などの基準」「含有成分の表示義務」「含有成分の検査基準」の3つに分類され、どの基準も安全な食生活には欠かすことの出来ない要素となっています。

含有量の基準

私たちが普段口にする食物には様々な栄養素やミネラルなどが多種多様に含まれています。そうした食品に含まれる含有成分について、食品衛生法では健康に害のない範囲でどの程度その成分を含むことが望ましいかなど、食品に含まれる成分量について細かく規定しています。

その規定は栄養素だけではなく、体にとって有害な物質についても細かく規定されています。例えば食品を製造する過程で使用される食品添加物の含有量の上限や、食品製造工場で混入の恐れのある油分などの有害成分についても詳細に規定されています。

そのため、食品製造工場などでは万が一の有害物質の混入を最大限抑制すべく様々な対策が講じられています。人体に有害な影響のない「フードグレートオイル」を利用したコンプレッサーやそもそも構造的に潤滑油を必要としない、オイルフリーコンプレッサーの導入なども、そうした取り組みの一環です。

含有成分の表示義務

食品衛生法では食品に含まれる成分の内、人体の健康に影響のある可能性がある成分が含まれる場合に、その成分を表示することを義務付けています。

例えば、食品がアレルギーを引き起こす可能性のある成分を含有している場合には、その成分を表示することを義務づけています。また、食品の製造過程で添加された食品添加物などについても、消費者に向け分かりやすく表示する義務などを定めています。

含有成分の検査基準

そうした食品に含まれる様々な成分について、食品衛生法では含有成分の検出方法や含有の有無を確認する検査基準についても詳細に規定されています。

例えば野菜を栽培する際に使用する農薬などは、一定量以下であれば人体への影響はほぼないと考えられ、一定量は残留していても問題ないとされています。

しかし、残留農薬などの微量成分は検出の方法によっては残留量が大きく異なって検出されるなど、差異が生まれる可能性を含んでいます。そうした検出方法や検査方法の違いによって、本来は有害な含有量と判断されるべきものが誤って無害であると判断されてしまうことを防ぐため、含有成分の検出や検査の基準などについても詳細に規定されています。

高まる食の安全性への意識

食品衛生法は時代背景にあわせて、幾度となく見直しが行われてきました。背景にあるのは国民の中にある「食の安全性」への意識の高まりです。

高度成長期には食品を長持ちさせることの出来る酸化防止剤などの食品添加物が、あたかも魔法の成分としてもてはやされたこともありました。しかし、食品添加物の一部は摂取過多となると人体に悪影響を及ぼす可能性があるといった研究結果が報告されるなど、それまで「魔法の成分」としてもてはやされた食品添加物が有害であるといった認識が国民の中に広がったのを機に、食品衛生法も改定が繰り返されてきました。

近年では食品添加物をなるべく使用せず、食品を長持ちさせる手法として「窒素」を利用した酸化防止策などが珍重されています。窒素は空気中にほぼ無尽蔵に存在し、精製する手法によっては非常に安価に入手することができる安全な酸化防止剤として、食品衛生法では「食品添加物」として扱われています。

まとめ

時代背景と共に見直され続けている食品衛生法ですが、実際にはその陰に様々な食に関するトラブルや健康被害が存在しています。そうした経験を踏まえこれまで何度も見直しや改訂が行われてきました。

食品衛生法では守るべき最低限の基準や規格が示されていますが、私たちの生活の基本となる食生活に関わる場合には、そうした最低限の基準や規則を遵守することはもちろん、そこに記載されている内容をしっかりと検証し、さらに高度な取り組みを継続することが重要です。

食品に関するトラブルは私たちの健康に直接影響する大きな問題です。規則を守ったうえで更に安全にそして効率よく食品を扱うためには、様々な最新技術や設備の積極的な採用を継続して検討していく必要があります。